迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
フィリーネはカロンを守るために二人の間に割って入った。
「カロンさんは悪くないので責めないでください。無理を言って迷惑をかけたのは私です。あと、刃物の扱いは慣れていますので問題ありません!」
フィリーネはこれまで野菜の下処理をしていたことをシドリウスに説明する。
昔はナイフで指を切って血が出てしまったこともあった。けれど、長年の訓練の賜物もあってこの数年は一度も指を切っていない。
シドリウスはその説明を聞いても尚、首を横に振った。
「今まではそうだったかもしれないが今後はダメだ。この世に絶対はない。もし、指を切って血を流したら……俺は耐えられない。どうにかなりそうだ!!」
「そんなにですか!?」
大袈裟だと口を開きかけたフィリーネだったがシドリウスの顔を見て息を呑んだ。
何故なら、切実に訴えてくるシドリウスの瞳が潤んでいたから。フィリーネの胸が締めつけられる。
きっと、シドリウスはフィリーネの血の一滴まで味わい尽くすために怪我をして欲しくないのだ。ここまで神経質に心配されてしまうと、却って居たたまれない。
(生贄の儀式が禁止されたこともあって、生贄の花嫁である私は貴重な存在。血の一滴まで余すことなく召し上がってくださるのでしょうね)