迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


「お嫁様っ!? 何をなさっているのでございますか?」
 カロンは上擦った声で叫んだ。

「あっ、カロンさん。見ての通り床のモップがけですよ。この規模のお屋敷を一人で掃除されるのは大変だと思うので、私にも手伝わせてください」
 備品室で掃除道具を見つけたフィリーネは、必要な道具を持ち出して掃除を行っていた。
 カロンはフィリーネの提案に首を横に振る。

「お嫁様が掃除をする必要はありません。私がシドリウス様に叱られてしまうのでございます」
「そうは言っても、カロンさん一人でこの屋敷を管理するのは大変ではないですか?」
「必要ございません。もともとこの屋敷はシドリウス様の魔法によって衛生面は保たれています。ご覧になった方が早いのでございます」

 カロンはフィリーネが持ってきていた水の張ったバケツをわざとひっくり返す。
 一度ひっくり返った水は床一面に広がっていく。変化はすぐに現れた。
 明後日の方向に広がっていた水が跡形もなく床から消えてしまったのだ。

(人間は契約した精霊から力を借りて魔法を使いますが、竜人は自由自在に魔法が使えるのでしたね)
 フィリーネは舌を巻いて床を見入る。
 カロンは綺麗になった床を手で示しながら口を開いた。

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