迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
夢塞病――それは夢の中に囚われて現実に戻って来られない病のことだ。見ている世界が夢の中だと分かればすぐに目を覚まして現実世界に戻れるが、分からなければ夢の中に囚われて出られなくなる。
夢塞病に侵されると徐々に夢の内容が悪夢へと変化する。患者は精神が錯乱し、寝ている状態で叫び声を上げたり、暴れたりするのだ。現実世界でどんなに声かけをしても目覚めないため、身体は栄養を摂取できずに衰弱してしまう。
そして最後は、普通の眠りが永遠の眠りに変わってしまうのだ。
一説によるとこれは過度なストレスから来る、体内の魔力バランスの崩れが原因とされている。
「今は令息が公爵の代理で政務を行ってくれています。……まさかあれほど元気だった公爵が夢塞病に罹るなんて信じられません。念のため確認しますけど、シドリウス様の魔法でどうにかなりませんか?」
「病の根源が魔力由来となると、魔法では治せない。それと、精神系を操作する魔法は竜人族の間で禁忌とされている」
「ですよねー。それができたらシドリウス様ご自身の夢塞病も治せてますもんね」
ヒュドーは肩を竦めて天井を仰いだ。