迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「落ち着いてください。シドリウス様が言うと洒落になりませんって!」
番に対して愛情深い竜人は、番を害する者をその手で排除しようとする。
シドリウスにとって、フィリーネに害をなした伯爵家は消えて然るべきという感覚だった。
「まだ調査中なので早まらないでください。まあ嵐の中、生贄の花嫁として捧げるくらいにはやばい家庭みたいですけど。とにかく、僕の方で動いているので報告を上げるまでは絶対に手出ししないでください」
ヒュドーが念押ししてくるのでシドリウスは渋々頷く。
「分かった。おまえの報告を待つとしよう。だが、間違いなくフィーを虐げていたという判断が下った瞬間に奴の屋敷を吹き飛ばす」
ドスの利いた声で宣言したシドリウスは次に疑問を口にする。
「それにしても、どうして姉妹格差が生じているんだ? フィーが光の精霊師ではないからか?」
今のところフィリーネ本人から精霊師の報告は受けていないし、精霊師が発する魔力もシドリウスは感じていない。
竜人族は魔力の機微を感じ取れる。もし精霊と契約を結んでいたらすぐに察知できる上、魔力属性まで判別できる。
アバロンド家といえば光の精霊師一族で有名だが、必ず生まれてくる保証はどこにもない。それはアバロンド伯爵も理解しているはずだ。
(アバロンド家がフィーを虐げている理由はなんだ?)
眉間に皺を寄せて考え込んでいたら、ヒュドーが手帳を閉じる。