迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~


「引っかかりが一つあるとすれば、あの家は昔からシドリウス様たち竜王陛下が作る魔法契約書を大量に発注している点ですかね」
 魔法契約書はシドリウスたち竜人にしか作れない書類で、双方の約束を違えないようにするためのもの。違反者には青い炎で焼かれるという罰則魔法がかかっている。

「重大な契約以外に普通は使わないんだが、そんなに必要になるものか? 何か知られたくない秘密でもあるんだろうか?」
 訝しむシドリウスにヒュドーも同調するように頷いた。

「この国唯一の光の精霊師一族ですし、悪い噂は聞かなかったのでこれまでは申請があってもすんなり通していました。しかし、フィリーネ様の件できな臭さを感じます。併せて調べてみますね」
「そうしてくれ。俺も今はフィーを存分に甘やかすことに専念する」

 もうすぐ十八歳になる割に、フィリーネはどこか幼い。
 まだまだあどけない顔をしているし、身体も小さい。妻としての役目を負わせるには荷が重いだろう。そして何よりも、フィリーネにはきちんと自分を好きになってもらってから、すべてを受け入れて欲しい。

 シドリウスは今朝の出来事を思い出す。自分の小指を差し出そうとしたフィリーネの行動には肝を潰したがあれには理由があった。
 カロン曰く、東方の国では愛の証しに小指を切り落として渡す風習があるのだとか。

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