迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
(俺のためにそこまで本気になってくれるのはありがたいし嬉しい。だが、フィーはまだ俺のことを何も知らない。名前で俺が竜王だと気づいたから誠意を示してくれているのだろうが、俺としては竜王のシドリウスではなく、ただのシドリウスとして好きになってもらいたい)
人間には番という概念が存在しない。
番だから愛したいという感覚もないらしい。
種族が違うのだから当然だ。だからこそ、自分の中身をじっくり知って受け入れてもらえたらと思う。
一方的な束縛では、相思相愛どころか心が離れていってしまうから。
(フィーには少しずつ俺を好きになってもらおう。それと、まずはフィーの身体が一番だ。地上で快適に暮らし、健康になってもらわないとな)
厚切りベーコンを幸せそうに食べるフィリーネを思い出したシドリウスは、クスリと笑う。やがて、顔を引き締めるとバルコニーに出た。
「さて、出発するぞ」
「はい。――いざ、空都へ!」
ヒュドーのかけ声でポールハンガーからグラウクスが羽ばたく。
シドリウスとヒュドーの二人は宙に浮くとそのまま風に乗って空高く飛んでいった。