迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「わあっ、とても綺麗です」
初めて見る花に興味津々のフィリーネはいろいろな角度からその花を眺める。
「空都でしか咲かない花だ。昨日は用事で空都へ行っていたからお土産だ」
「嬉しいです! 早速お部屋に飾らせていただきますね!!」
誰かからお土産をもらえるなんて生まれて初めてだ。
(私はいろんな初めてをシドリウス様からいただいていますね)
シドリウスの優しさ一つ一つに心が温まっていく。
フィリーネは頬を緩めて虹色の花を見つめた。
「おまえの喜ぶ顔が見られて幸せだ」
シドリウスがうっとりした表情でこちらをじっと見つめてくる。そこにはほんのりと色気が滲んでいて、フィリーネの心臓が思わず跳ねた。
食べられる身の上であることは承知しているが、これほどの美貌を目の前にして心臓がドキドキしない人はこの世にいないと思う。
(シドリウス様の機嫌が直って良かったです。ですがこの笑みは、とっても危険です!!)
フィリーネは目のやり場に困った。
生贄としての役割を全うしなければいけないのに、気を抜けばうっかり好きになってしまいそうだ。
(生贄の私にすらこんなに優しいんです。きっと、シドリウス様の番になる方はとっても幸せですね)
熱くなった顔を冷ますようにそよ風が当たる。
しばらくの間、フィリーネはその心地よい風に浸った。