迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「フィーを公表するつもりは今のところない。もしするとしても成人してからだろう。空都で俺の帰還も併せて舞踏会を開くつもりだ。……それに俺は、まだフィーの気持ちを確かめられてないからな」
「え? 毎日一緒に寝ているのに!?」
堪らずヒュドーが素っ頓狂な声を上げた。
「おまえの言うとおり毎日一緒には寝ているが、あれは夢塞病の対症療法のようなもの。いかがわしいことは一切していない。さては、俺が手の早い男とでも思っているな?」
シドリウスがジトッとした目で見つめると、ヒュドーが目を泳がせる。
「……だって、ラベンダーの香油をフィリーネ様に渡したし、こちらとしてはいろいろと想像するに決まってるじゃん」
ヒュドーは独り言を呟いてから、シドリウスに謝罪する。
「勘違いをして申し訳ございません。竜人が番に対して嫌われたくない感情が人一倍強いのは知っていましたけど……シドリウス様も同じだったのですね」
シドリウスは心外だというように顔を顰めた。
「フィーの気持ちが追いつかないまま、勝手にことを進めたくない。前にも言ったように、時間をかけて関係を深めていきたいんだ」
シドリウスの心に暗澹たる気持ちが込み上げてくる。
フィリーネとの関係は、出会った当初からほとんど変わっていない。
上手く説明できないがこちらが好意を示しているのに、フィリーネは常に一歩引いたところから接してくるような気がする。