『塵を抱き、塵を払う』― 業とともに生きた半世紀 ―
エピローグ
山の空気は、いつも変わらず澄んでいる。
季節が巡り、人が生まれ、誰かが去っても、比叡の峰も、高野の森も、ただ静かにそこにある。
彼は、その静けさの中に身を置き、般若心経を唱えながら、自らの歩んできた半世紀を思うことがある。
光もあった。
影もあった。
迷いも、選択も、別れも、再生もあった。
だが、彼は振り返らない。
後悔はない。
苦労という言葉も、彼の辞書にはない。
ただ、胸の奥に残るのは―― 消えない未練と、尽きない欲。
それらは煩悩ではなく、彼にとって“生きる証”だった。
塵を抱き、塵を払いながら、人は皆、己の道を歩いていく。
彼もまた、その一人にすぎない。
けれど、彼の歩みは確かだった。
どれほど道が折れようとも、その足は止まらなかった。
そして今日も、山の静寂の中で、彼はひとつ息を吸い、ひとつ息を吐く。
生きるとは、ただそれだけのことなのかもしれない。
だが、その“ただ”の中にこそ、彼の半世紀が宿っている。
物語はここで終わる。
しかし、彼の歩みは続いていく。
塵とともに、業とともに、未練と欲を抱きながら。
静かに、しかし確かに。
季節が巡り、人が生まれ、誰かが去っても、比叡の峰も、高野の森も、ただ静かにそこにある。
彼は、その静けさの中に身を置き、般若心経を唱えながら、自らの歩んできた半世紀を思うことがある。
光もあった。
影もあった。
迷いも、選択も、別れも、再生もあった。
だが、彼は振り返らない。
後悔はない。
苦労という言葉も、彼の辞書にはない。
ただ、胸の奥に残るのは―― 消えない未練と、尽きない欲。
それらは煩悩ではなく、彼にとって“生きる証”だった。
塵を抱き、塵を払いながら、人は皆、己の道を歩いていく。
彼もまた、その一人にすぎない。
けれど、彼の歩みは確かだった。
どれほど道が折れようとも、その足は止まらなかった。
そして今日も、山の静寂の中で、彼はひとつ息を吸い、ひとつ息を吐く。
生きるとは、ただそれだけのことなのかもしれない。
だが、その“ただ”の中にこそ、彼の半世紀が宿っている。
物語はここで終わる。
しかし、彼の歩みは続いていく。
塵とともに、業とともに、未練と欲を抱きながら。
静かに、しかし確かに。