破断直後のEt cetera

 翌日、よく眠れないまま出勤すれば、10時までに提出しなければならなかった議事録を出し忘れたことに気付く。

 赤堀部長に提出するはずだった、釜山医薬品メーカーとの、ミーティングの議事録だ。

 報告書の作成に追われていたこともあり、つい提出を見落としてしまった。しかもまだ作成途中のままだ。

 赤堀部長に謝れば、「どうせ私もすぐには確認出来ないから大丈夫だよ。でも15時までには提出してほしいかな。」と言ってくれた。

 
 提出期限は自分でオンラインスケジュールにも記入している。

 完全にぼーっとしていた。

 期限が守れないなんて、秘書失格だ。



 無事議事録を提出し、別件の契約書類の翻訳作業をし終えたところで、18時を過ぎていた。

 欠伸を何度噛み殺したか分からない。

 今日は早めに帰ることにした。

 

 エレベーターに乗り、1階のボタンを押す。

 すると10階で、営業本部秘書課の3名が同乗する。

 今日は厄日だろうか? グローバル部に異動してからというもの、高坂以外とは全く顔を合わせていない。

 元秘書課のメンツが、同じエレベーターで一同に介するとは、気まずさを通り越して、吐きそうになってくる。


「お久しぶりですね、大路さん。」

「ほんと、敷居の高いグローバル部はどうですか? うちの秘書課よりもずっと忙しいんじゃない?」


 高坂さん以外の、2人の秘書に話しかけれられて、適当な相槌を打っておく。

 まさか話しかけられるなんて思っていなかったからびっくりだ。


「そうですね。毎日バタバタすぎて、正直いっぱいいっぱいです。」

「でも楢崎課長といい雰囲気だって噂、聞いてるよ?」

「え、楢崎課長ですか?」

「いいなあ大路さん。婚約解消されても、またイケメンに見初められるなんて。」

「いえ、それは嘘ですよ。」
 
「もしかして、十二村部長と婚約解消前から、楢崎課長とデキてたりするんじゃない?」


 心の中で大きな溜息が漏れる。

 今日はすでに朝からミスをして一度落ち込んでいるせいか、冷静に考えることが出来た。







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