破断直後のEt cetera
「あなたたち、付き合ってるんでしょう?」
「な、なんで知って」
「分かるわよ。どれだけ傍で十二村部長を見てきてると思ってるの。」
不思議と、高坂さんの声に怒りは感じられなかった。
高坂さんの視線が、私へと移る。
「部長もあなたも、きっとおうちの事情で色々大変でしょうけど、部長は最初からあなたしか見ていないの。いつもあの窓からあなたが帰るのを見守っていた。」
夕焼けが反射する窓を、ゆっくりと目で上へと辿っていく。
10階あたりの窓だろうか? 他の窓のほとんどはブラインドが閉められているのに、そこだけブラインドが見えない。
ふと視界が滲んで、唇を噛みしめた。
「いい? 彼を幸せに出来るのはあなたしかいない。だから、必ずあの人を幸せにしてあげて。」
高坂さんの表情に、いつものプライドはなかった。
声は力強くも、揺れる瞳が切なさを滲ませている。
それでも、最後に口角を上げて私に微笑んだ。
「じゃあね。大路さん。」
高坂さんが颯爽と歩いていく後ろ姿に、深くお辞儀をする。
秘書課ではお世話になった先輩だ。十二村部長が認めるほどの女性。
改めて詩太さんを好きになって良かったと思った。高坂さんほど素敵な女性に惚れられるのだ。
私もこのままではいけないと思った。