破断直後のEt cetera
「大路さん!」
「わっ!! お、おはようございます!」
「いきなり声かけてごめんね!」
突然聞き慣れない声に呼ばれて、思わず肩がせり上がってしまう。なぜなら私を呼んだ相手は、グローバル部の楢崎課長だったからだ。
まずい……。もしかして、十二村部長とのことで何か言われるんじゃないだろうか? 2人は同期だし、しょっちゅう飲みに行くほど仲がいいのだ。
何か注意を促されるのかもしれないと、身構えた。
「悪いんだけど、今すぐグローバル部に来てくれる? 十二村部長と、高坂さん、だっけ? がうちの赤堀部長と言い合いになっててさ。」
「はい? 『言い合い』?」
すでに新たな事件勃発? 朝から一体何だというのだろう? 思ってもみないところで事件が発生しているようで、自動的に自分の首が傾く。
「なんか、ごめんね。赤堀部長が『大路さんを呼んでこい』って言うもんだから。」
「は、はあ。分かりました。」
グローバル部の赤堀部長とは、貫禄のある40代後半の男性だ。
これまで数カ所の海外支店で駐在員として働き、本部のグローバル部部長として役職に就いたと聞いている。
そんな世界を飛び回る凄い人に私が呼ばれる理由が分からないけれど、顎髭が特徴的で、いつもお洒落なブラウンのスーツを着ている赤堀部長は、意外にもフランクな性格というのは有名な話だ。
グローバル部は15階に位置し、10階から楢崎課長とエレベーターで上がっていく。
エレベーター内に私を先に促し、出る時も私を先に行かせてくれる楢崎課長はなんとも紳士的な人だ。どこかの御曹司とは違う所作に感動すら覚えてしまう。