破断直後のEt cetera

「大路さんおはよう! 朝から呼びだててごめんね!」

「赤堀部長、おはようございます。」

「総務からの急な辞令を見てさぞかし驚いただろう? でもどうか私から説明させて欲しいんだ。」

「急な辞令?」


 十二村製薬は、3月と9月に辞令が発表される。2月に入ろうとしているこの時期の辞令となると、突発的な問題が発生したということだ。


「うちの秘書の基村(もとむら)が、旦那さんの転勤で先月退職してね。それで新しい秘書を雇おうかと思ったんだけど、君の語学スキルに感銘を受けたというわけなんだよ。」

「わ、私ですか?」

「あれ? もしかして、まだ総務からのメーリング見てない?」

 
 あのメーリングって“辞令”に関するものだったの? 自分の辞職ばかりのことを考えていて、件名欄すらもよく見ていなかった。

 
「大路さん、2月からグローバル部に異動なんだよ。私の推薦でね。」

「……え。」

  
 すぐに楢崎課長が、自席のパソコンから用紙を打ち出してくれる。

そっと用紙を渡されて、目を丸くした。


『大路未怜殿 辞令 令和8年2月1日を持って、営業本部秘書課の任を解き、大グローバル部秘書課への異動を命じる。』


 件名には『【重要】辞令について』の文言が入っている。

(ん? 待ってわたし?? この私が、グローバル部秘書課?!)

 何の前触れもなく突きつけられて、頭の中が真っ白になる。

 全く思ってもみなかった展開だ。

 いや、真っ白になっている場合じゃない。だって私は、3月でこの会社を辞職するんだから。





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