破断直後のEt cetera

「そっか……。そうまでして、十二村のことが好きか……。」

「はひ。すびばせん……」

「ううん。僕はそういう一途な大路さんにも惚れてるからね。」

「そんな……あ、あゔぃがとうございばす……」

「ふふ。なんかもう、かわいすぎてこのままうちに連れ帰っちゃいたいくらいだよ。」


 ポンポンと最後に軽く頭を撫でられて、肩を掴んで離される。

 自分の酷い顔を見られたくない。そう思って手の甲で隠していれば、課長がハンカチで涙を拭いてくれた。


「ほら、鼻水出てる。寒いし帰ろうか。途中まで送るよ。」


 まるで面倒見のいいお兄ちゃんのようだ。

 濡れた涙の痕に、冬の冷たさが伴う。

 マフラーにうずくまろうと、首元を触れば、マフラーがないことに気がついた。

 そういえば、さっきからマフラーの感触がない。どこかに落としたのだろうか?


 真っ暗な道筋を目で辿れば、課長の後ろに人影が出来ている。

 その人は、私のマフラーを手にしていた。


「……何してるんだ、楢崎と、大路。」

 
 そこには十二村部長が立っていた。

 グレージュのチェスターコートを着て、街頭に照らされた髪が冷たい風に靡いていた。

 






< 78 / 124 >

この作品をシェア

pagetop