破断直後のEt cetera
ビジネス雑誌にお兄ちゃんの名前が載っていて、思わず面食らってしまう。
まさかお兄ちゃんの名前まで書かれているとは思わなかった。
そういえば、来月お兄ちゃんが日本に帰国するのだ。
オージスの記念パーティーと兄の正式な経営継承発表で、自分も出席しなければならないことを思い出す。
「お兄さん、かなりのやり手だな。修行とはいえ、きっと初めからオージスの成長に繋げるためにMG社を選んで従事したんだろう。」
有名なカフェのマグカップを手に、部長が私の隣に座る。
ココアの優しい甘さとシナモンの香りが鼻をつく。ココアにシナモンとは、かなりの通だ。
部長は家ではコーヒーすら飲まないのだろうか? ココアも身体に悪くはないけれど、甘い物ばかりで、よく体型を保っていられるなと思う。
「恥ずかしながら、私、何も知りませんでした。父から事業の新規参入のことは聞いていましたけど、まさかお兄ちゃんが計画していたことだったなんて。」
「アメリカの大学行って、アメリカで従事して、大路家の教育には恐れ入る。後、お前の語学スキルにもな。」
カップを両手に持ち、冷ましながらそっと唇をつける。
完全なプライベート空間で2人きりだと、なぜだか皮肉を言うのが躊躇われてしまう。
一口ココアを飲んでから深呼吸をして、覚悟を決めた。
「私、たいして父にも母にも教育されていませんよ。中学から私立の女子校に通わされていたくらいで、特に成績については厳しく言われていないんです。」
「そうなのか?」
「はい。」
「ならなんでそんなに語学が堪能なんだ? 韓国アイドルが好きなだけで、会話ができるくらいになるのか?」
推し活を舐めてもらっちゃ困るけど。恋愛感情はもっと舐めてもらっては困るのだ。
ココアのカップをテーブルに置いて、隣の部長に顔を向けた。
「私の好きな人が、優秀な人だからですよ。その人に追いつきたくて、自分も必死に頑張っていただけです。」