【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
 起きたてで焦点の合わなかった目に風景が映るのを感じたアリスは、パキンと近くで小枝が折れる音を聞いて、はっとその方向へと視線を走らせた。

「……小鹿だ。可愛いね」

 薄茶色の可愛らしい動物は声を聞いて二人の存在にやっと気がついたのか、急いで森の奥へと消えていってしまった。

「……やっ……」

 外でこんな事をしていた自分が急に恥ずかしくなって、やっと我に返ったアリスは、慌ててゴトフリーの膝から立ち上がった。

「アリス? どうしたの……?」

 思わぬ行動に眉を顰めたゴトフリーに、アリスはふるふると唇を震わせながら言った。

「わ、私は一回関係したってだけの人に、そういうことを許すような簡単な女でもないんだから。付き合ってもいないのに、勘違いしないで! こんなことばっかりするなら、もう会わない」

 はぁはぁと興奮したアリスの姿にゴトフリーは驚いてから、その後、自分のしてしまったことを悔いるように目を伏せながら言った。

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