【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
 アリスは連日の事務作業で疲れた目の辺りを揉みこんでから、ふわっと欠伸をしながら、お日様の匂いのする布団に潜り込んだ。

 どこか夢の遠くでゴトフリーの独特な低い声がした気がして、アリスは嬉しくなった。淡い憧れからはじまった彼への思いは、夢の中だけでも会えたらと思えるほどまで大きくなっていた。

「……サハラ室長、お疲れ様です」

「あれー、マーシュくん。残念だけどアリスくんなら、今仮眠中だよ。ついさっきまでそこで仕事してたんだけどね。年度末だから、皆家に帰る暇も惜しくて」

「わ、本当に多忙なんですね。一応年度末の話は以前アリスからも聞いていたんですけど……今夜も泊まりこんで仕事しているって聞いて。別に何か用がある訳じゃないんです。僕もこれから何日間か遠征に行くのでその前に顔を見に来ただけなんです」

 この辺りでアリスはこれは夢じゃないな、と思い始めた。だんだんと眠りが浅くなって、近くで交わされる会話が聞こえてしまっているようだ。

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