【書籍化】素直になれない雪乙女は眠れる竜騎士に甘くとかされる【コミカライズシーモア先行連載中】
「あ、そうなの? こんなに遅い時間に竜騎士も大変だね。もしよかったら寝顔だけでも見て行ったら? 寝てるけどね。一応他の人も近くで寝てるから、えっちなことは禁止だよー」

(えー、サハラ室長、何言ってんの、何言ってんの。一応未婚の妙齢女性が寝てるんだよ)

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

(ゴトフリーもお言葉に甘えないでー! 嘘でしょ。お風呂も入ってるしもう化粧も落としてるんだけど)

 すぐそこでサハラ室長からアリスのいる仮眠室の番号だけ聞くと、足音を潜めたゴトフリーは静かに扉を開いた。

「……アリス」

 問いかけるような、抑えた声音は別に答えを期待している訳ではないようだった。寝たふりを決め込んだアリスは内心ドキドキしながら彼が何をするかを待っていた。

 ゆっくりと近寄ると、ゴトフリーはアリスの額にキスをしてちいさな声で優しく囁いた。

「好きだよ、アリス。いってきます」

 その言葉にこの前からアリスの中に巣食っていた不安とか寂しさとか、とにかくもやもやとしたその黒い感情が弾けて飛んで行ってしまうのを感じた。

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