悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「おいたが過ぎたのよ。もう二度と後宮には来られないかと」

 意地の悪い微笑みを浮かべてロベリアが言う。

 久しぶりに見たロベリアは、記憶の中よりもずっと輝いていた。
 会えない時間が長かった分、胸の奥が焼けるみたいに熱く、痛いほど脈打っている。

 せめてもの慰めに他の女を抱いたりもしたが、結局欲は満たされなかった。
 どんな豊満な身体を見せられても、この微笑ひとつに誰も勝てなかったのだ。

 「そう責めるな。これでも反省している」

 苦笑しながら降参のポーズをとる。

 会いたくてたまらなかった。
 こちらが優位に立っているつもりだったのに、いつの間にか立場が入れ替わっていたらしい。

 ロベリアには敵わない。
 この一ヶ月で痛いほどに思い知った。

 「反省しているのなら、こんな真夜中にいらっしゃらないと思うけど」

 平坦な声と冷めた目だ。
 予告なく逢瀬が途絶えたことを責めているのだろう。抗議のためか、いつもなら淹れてくれる茶を用意する気配がない。
 拗ねているのだと思うと、それさえも可愛くて仕方ない。

 オレには分かっている。
 そんな顔をしても、髪も化粧も隙なく整えられているから。
 いつオレが来ても大丈夫なように準備していたのだと思うと、その健気さに改めてロベリアを愛しく思う。

 「こんな時間でなければ会いに来られなかった。父上の独占欲はひどくなるばかりだ。今も、バレたら今度こそ殺されかねない」

 大袈裟ではない。 今の父上の状態を知る者ならば、同意してくれるはずだ。
 今や父上は異常なほどロベリアに執着している。
 ルキウスというストッパーの存在がなければ、今頃ロベリアを自分の部屋に軟禁していたに違いない。
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