悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 後宮に入ってすぐ、姉は見事に国王のお気に入りとなった。
 半年の教育期間を終えたその日に上級女官に昇格し、個室を与えられた。
 そこまでは順調だった。

 あまりにも順調すぎた。

 初夜を後も中級の域を脱することができず燻っていた女官たち。
 苦労して得た場所に、すんなり辿り着いた姉に脅威を感じた上級女官たち。

 彼女らの嫉妬と羨望を一身に浴びた姉は、悪い意味で注目の的だった。

 それに興味を引かれた第一王子のロエルが、国王の目を盗み姉の部屋に忍び込んだ。
 もともと彼は、自分の立場を利用して後宮でもやりたい放題だったらしい。
 知らぬは国王ばかりで、彼の存在は後宮で半ば公然の秘密と化していた。

 見目麗しく鍛え上げられた体躯のロエルに、国王以外に男性と縁のない後宮女官が熱を上げるのも無理はない。
 彼のお手付きになることは、女官の間では自慢話になるのだとか。
 実際、私に噂を聞かせてくれた女官の中にも、嬉々としてロエルに抱かれたことを誇る者がいた。

 もちろん国王に操を立てて拒否する者もいた。
 けれどロエルは「お前の立場で断ることができると思うのか」「お前の家が今後どうなるかよく考えるんだな」と卑劣な脅しをチラつかせてくる。
 それでもなお拒絶すれば、あとはもう無理やり犯されるだけ。
 ボロボロの状態でありもしない罪をでっち上げられ、後宮を追われる。

 同室の子がそうなるのを見たと、怯えた顔でこっそり教えてくれた女官は、その数日後に姿を見なくなった。

 姉はおそらく抵抗しなかった。
 できなかったはずだ。
 ガーランド家に害が及ぶことを恐れて、静かに耐えた。

 それが次の悲劇を呼ぶなんて、考えもせずに。
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