悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 ここまで話の通じない人間がこの世に存在するなんて。
 こんな人と添い遂げることなんてできるだろうか。
 添い遂げたところで、何も変えられないのではないか。

 早くも絶望しかけていた時に現れたのがロエル殿下だ。

 彼は陛下に輪をかけて愚か者だった。
 性格はともかく容姿と家柄から正妃候補だったイレーヌ。その継母になるかもしれない女性と関係をもった倫理観のなさもさることながら、父親の目を盗んでは後宮に忍び込み、女官を食い散らかす最低の男。

 陛下が夢中な女に興味津々で、いつものように簡単に抱けると思い込んで自信満々に私の部屋にやってきた。
 傲慢の化身のような男だ。
 庶民の肩書を持つ私など、すぐに落とせると舐めていた。

 確かに殿下は容姿端麗で、逞しい身体つきをしていた。
 舞い上がって彼の訪れを喜ぶ女官がいるのも頷ける。

 だけど私は知っている。この男がどれほど卑劣かを。

 幸い、私は陛下のお気に入りだ。
 強引にねじ伏せれば、彼自身の立場も危うくなる。
 さすがにそれは分かっているのだろう。
 私にその気がなく、泣き寝入りするほど殊勝な性格でもないと理解すると、殿下は意外なほど慎重に振る舞った。
< 179 / 206 >

この作品をシェア

pagetop