悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 何かあればすぐにでも陛下に言いつけてやるという牽制をチラつかせながら、強気な笑顔の下で懸命に距離を測る。
 もしこの男に無理やり犯されたら、陛下は息子を許さないだろうが、同時に手垢がついた私への興味も失ってしまう。

 殿下を道連れにできるのは悪くないが、私という盾が消えると、姉を守るものがなくなってしまう。
 ロエル殿下の訪問時は一瞬も気を抜けなかった。

 男は手に入らないものに夢中になる。
 バルメロ侯爵の言葉は、殿下にも当てはまった。
 一向に靡く気配のない私を殿下は面白がり、口説くという行為自体に楽しみを見出しているようだった。

 いっそバルメロ侯爵の教えを逆手に取って、飽きられるために一度抱かせてしまおうか。
 投げやりな気持ちでそう考えたこともあったが、身体が拒絶して無理だった。

 この男が姉を犯した。
 この男が姉を破滅に追いやった。

 その記憶が消えず、触れられた瞬間、嫌悪感のあまり吐きそうになるのだ。

 なぜか彼は手応えを感じていたようだが、実際は心の底から軽蔑していた。

 この国はもうおしまいだと、苦渋に満ちた顔で絞り出した男の顔を思い出して胸が痛む。
 国王と王太子が、たった一人の女に入れ上げて国政を疎かにするなんて。
 本当にどうかしている。
 いっそ本当に私が終わらせてしまおうか。

 そんな悪意が湧き上がる程度には、殿下の愚行に苛立っていた。
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