悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 美しくなりたいと願っていた。
 姉に憧れ、あんなふうになれたら両親に愛され誰からも優しくされて幸せな人生だろうと。

 だけど努力してそれを手に入れた今、こんなにも虚しい。
 私のしたことは結局、自分を含め誰も幸せにすることはなかった。

 そもそも姉なんて、美しいだけでなく賢く優しい人なのに、一度目の人生は悲惨なものだったのだ。
 なんて理不尽なのだろう。

 「そう不貞腐れるな。これは君が思っているよりずっといい結末だ」

 ルキウスが言う。茶化すわけでも、下手な慰めというわけでもない、真面目な口調だった。

 「どこが? この血溜まりが目に入らないの?」

 私の反論に、ルキウスが口を開く。

 「閣下! ご報告が!」

 けれど何かを言う前に、息を切らせて走ってきた兵士が、彼に何事か耳打ちした。
 ルキウスは頷きを返しながら、つまらなそうに眉根を寄せた。

 「……喜ぶといい。陛下は一命を取り留めたそうだ」

 その言葉に、思っていた以上にホッとする自分がおかしかった。
 死んでほしかったわけじゃない。
 ただこの国のために、国王の座を退いてほしかっただけ。

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