【4/5書籍発売】悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あなたは全然嬉しそうじゃないわね」

 少し心が軽くなったついでに揶揄するように言う。

 「死んでくれた方が後の処理が楽だったからな」

 遠慮のない返答に、報告にきた兵士がギョッとした顔になる。

 「ああ、報告ご苦労。もう下がっていい。おまえも廊下で待機していろ」

 駆けつけた兵士と、後ろで控えていた兵士を追い出し、ルキウスが部屋の扉を閉める。

 「しかしなぜ応急処置をした? 衛兵が駆けつけるまで放っておけば、確実に失血死していただろう」

 二人きりになってから、ルキウスは心底不思議そうに首を傾げた。
 それから倒れていた椅子を引き寄せ、視線の高さを合わせるように私の正面に座った。

 「復讐のチャンスだとは思わなかったのか」

 ルキウスは問う。
 姉を殺した人間たちを、殺したいとは思わなかったのか、と。

 そう、彼はすべてを知っている。
 彼にだけは、最初にここで顔を合わせたときに全てを話していた。
 この無謀な作戦が、一人で成し遂げられるほど簡単なことではないと分かっていたから。
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