悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 イレーヌが追放されたあと、後宮の空気は穏やかなものへと変わった。
 陛下があんなことになってしまったし、もう争う必要もないというのもあるけど、やはりあのギスギスした空気の大部分はイレーヌの存在のせいだったと思う。

 「ま、アイリスに比べたら負けるけど」
 「お姉様を呼び捨てにしないでってば」

 姉のいじめに加担していたヴェロニカなんて大嫌いだった。
 だけど当の姉が許して、仲良くなったのだから、いつまでも目の敵のように思っても仕方ない。
 姉妹だということを明かしたのも姉だ。

 開き直って性格の悪さを晒け出したヴェロニカは、案外話しやすくて悪くなかった。

 「それにお姉様はあなたと違って純愛なの。下世話な言い方、よしてくれる?」
 「うるさ。これだからシスコンは」
 「文句ある?」
 「でも本当に、まさかアイリス様がエミリオ殿下と恋仲になられるなんて、予想もしていませんでしたわ」

 姉の友人のタリアが嬉しそうに頬を染める。
 誇らしくて仕方ないのだろう。姉のことが大好きだというのが伝わってくる。
 彼女は私が妹だと知った時から、ずっと友好的だ。

 「でもすごく納得。アイリス様ほどお優しい方はいませんもの」
 「……まぁ、それは同意だけど」

 タリアの言葉に、ヴェロニカが気恥ずかしそうに同意する。
 基本意地悪で皮肉屋な彼女にしては珍しい。

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