悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「次期王妃様のお身体に傷をつけたんだもの。処刑されてもいいくらいよねぇ?」

 当然のように私たちの輪に加わり同意を求めるリュシーに、誰も首を縦に振らない。
 隣に座られたタリアは、気まずそうな顔をしている。

 「……確かにイレーヌ様は恐ろしいことをなさったけど、あの方が処刑なら、次期王妃様をいじめた私たちにも相応の罰があるのでは?」

 ヴェロニカが皮肉げに頬を歪めて言う。

 「ええ!? 大丈夫よきっと。だってあなた仲良しじゃない」
 「自分は無関係って顔ね」

 案の定、他人事みたいな顔でヴェロニカを心配するリュシーに呆れてしまう。

 「悪いことは言わないわ。あんたの優しいお姉さまに『今からでもあいつを処刑しろ』ってアドバイスなさい」
 「エミリオ殿下に言ったほうが確実じゃない?」

 ヴェロニカと小声で言い合う。

 リュシーは自分が宮廷に引き立ててもらえるという明るい未来を語ることに忙しくて、私たちにはもう興味がないようだ。
 こうなったらリュシーの話は長い。

 「ご歓談中申し訳ありません」

 うんざりしていた所に、下級女官が遠慮がちに話しかけてくる。

 「ロベリア様、宰相閣下がお呼びです」
 「まあ何かしら! 閣下のお呼出しなら急がなくちゃね!」
 「あ、ズル! 一人だけ逃げるなんて!」

 いそいそと立ち上がる私に、ヴェロニカが非難がましく言う。
 私はひらひらと上機嫌に手を振って、談話室を後にした。
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