悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「あまり嬉しそうではないな?」

 黙ってしまった私に、ルキウスが片眉を上げて探るような視線を向けてくる。
 大好きな姉が、女性としての最高権力を掴むことを、手放しで喜ぶと思っていたのだろうか。

 「まさか。もちろん嬉しいわ」

 私は笑う。
 誰よりも美しく、誰よりも優しく賢い姉が、割りを食ってばかりなのがいつももどかしかったから。
 ようやく正当な権利を得たことが、嬉しくないわけがない。

 だけど。

 「……嬉しいけど、もう滅多なことじゃ会えなくなると思うと、寂しくて」

 くだらない理由だ。
 いじけた子供みたいな口調になってしまうのが恥ずかしい。
 だけど偽りない正直な気持ちだった。

 姉が殺されることなく、不幸にもならず、目標以上の素晴らしい結果を得ることができたというのに。
 王妃となった姉と、ただの地方領主の娘でしかない私。
 住む世界の隔たりが、後宮入りしたときより分厚くなってしまったことが切ない。

 「なんてね。ただのワガママよ」

 泣きそうになったのを誤魔化すように笑う。

 「何を憂いているのかと思えば。まったく……」

 ルキウスが呆れたように溜め息をつく。
 眉間にシワの寄ったその小難しい顔を、もう見れなくなってしまうということも寂しい。
 いつも小言ばかりで、だけど私を心配してくれて、この国のために頑張って働く人。
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