悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「悪かった。おまえは父上のものだものな」

 そう、目下の敵は父上のみ。
 年甲斐もなく若い女に入れあげているあの男。
 ロベリアに飽きてくれれば、すぐにでもオレのものにするのに。

 王妃探しなら、イレーヌという年齢も家柄も似合いの女がいる。
 オレが具合のいいように仕込んでやったのだし、好きに使えばいいものを。

 「そうよ。だからあなたに構っている暇はないの」
 「そう言っていつも迎え入れてくれるのはなんでだろうな?」
 「勝手に入ってきてるんじゃない」

 からかうように言うと、ロベリアはすました顔で肩を竦めた。

 自分も会いたいからだと、素直に言える女ならこんなに執着しなかった。
 オレを想っているのは確かに感じるのに、王妃になるという、庶民には過分な野望を捨てきれないのだろう。
 その強欲さも、それに見合うだけの気概も気に入っていた。

 「いい加減にしないと、陛下の不興を買いますわよ」

 たしなめるようにロベリアが言う。
 秘密の逢瀬がバレて、会えなくなることを恐れているのか。
 それを素直に言えない可愛いげが、オレをのめり込ませているのを分かっていないらしい。
 こうして戯れに駆け引きじみた会話をするのも楽しかったが、もう我慢も限界に近づいていた。

 「ふん、父がここまで執着するとはな。よほどおまえの身体が手に馴染むらしい」

 紅茶のおかわりを淹れようと、伸びてきた白い手を掴んで笑う。
 あの好色な父のことだ。
 この美しい女の、完璧なバランスを保つ肢体を前に『待て』などできるはずがない。
 ルキウスの言いつけを破り、教育期間なんて無視してとっくに抱いているはず。そう確信していた。
 ならばもうオレが抱いても問題ないはずだ。

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