悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「もしよろしければ、わたくしの部屋で休んでいかれませんか? ちょうど同室の者が精神を病んでしまったとかで、ご実家で静養中ですの」
 「ふむ……」

 露骨な誘い文句だ。自分を庇護する者と深い関係を持つ相手に。

 「では、お言葉に甘えようかな」

 にやりと笑ってその誘いに乗る。

 格上の相手だろうと、庇護があろうと、奪える隙があればなりふり構わない。
 その豪胆さが気に入った。
 もしイレーヌに知られたとてどうでもいい。
 下に見ていた者に出し抜かれたと、怒り狂う様を思い浮かべると愉快な気持ちにさえなった。


 翌朝、早朝の冷えた空気の中、廊下に出る。
 ヴェロニカとの時間はなかなかに楽しいものだった。

 一度眠ったというのもあるが、おかげで気分はすっかりよくなっている。
 女ざかりを過ぎたイレーヌとも、日々の仕事で精一杯の下級女官とも違う、金のかかった若い肌。
 ロベリアと同い年だということがまた興奮の度合いを高めるスパイスとなった。

 募り続ける熱を発散させるつもりが、若い身体がロベリアを連想させてますます燃え上がるのを止められない。
 やはり若さは力だ。
 父上より若く、強く、彼女の退屈を埋められる男だと、どう彼女に証明するべきか。

 頭の中はたったひとつ、どうすればロベリアを手に入れられるのかという問いだけ。

 後宮を出たとき、すでにヴェロニカの名前は記憶の隅に追いやられていた。
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