悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 「気に入らなかったか?」

 ガッカリして肩を落とすと、ロベリアは「そうじゃなくて」とむくれてみせた。

 「こんなにたくさん頂いても、つけていく場所がないじゃない」
 「それは……仕方あるまい。四六時中一緒におれるわけでもないからな。ここで纏えばよい」

 近頃、王宮の男どもが露骨だ。
 中庭を歩くロベリアをひと目見ようと、用のない文官が帳簿を抱えてふらふら現れる。
 点在する東屋をあちこち探し回った挙句、『偶然』声をかけようとする若造もいる。
 おかげで片時も安心できなくなり、余がついている時以外の外出を禁じざるを得なくなってしまった。

 ロベリアを認めさせるためとはいえ、有力貴族たちに会わせたのは失敗だったか。

 後悔するのと同時に、誇らしくもあった。
 やはりこの女は誰もが羨む至高の存在なのだと。
 その女を手に入れられる余も然り。

 運命は確実に我ら二人の最終到達点に向かっている。
 余の選択はやはりいつだって正しいのだ。

 「お散歩もお茶会もダメ。最近は陛下も忙しいようだし、息が詰まるわ」

 余と違い先を見通せないロベリアが、不満もあらわに箱の蓋を閉める。
 まるでこんなものでは納得しないと主張するように。

 「必要な配慮だ。そなたを奪われるわけにはいかぬからな」
 「あなたに逆らえる人なんて、いるとは思えないけど」

 ロベリアは肩を竦め、女官が紅茶を注いだカップに口をつけた。
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