悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 少し前の僕ならここで必死になだめていただろう。すぐに前言を撤回し、次はこのようなことがないように、なんて言ってなあなあで済ませていた。
 だが今は腹立ちが勝っている。

 いじめ。
 嫌がらせ。
 罪の捏造。

 これまで何度も女官たちが涙ながらに相談してきた。
 突き詰めていくと、必ずと言っていいほどイレーヌやその取り巻きたちの名前が挙がった。

 彼女たちを守るため、イレーヌに関わらないで済むよう配置換えを行ってきたが、それにも限界はある。
 それほどにイレーヌを嫌がる女官は後を絶たなかった。

 本人は取り巻きを使って上手く立ち回っているつもりだったのだろう。
 だが皆知っている。イレーヌがどれほど性悪で、嫉妬深いかを。

 「君が悪くなかったことなど一度もない。君自身よく知っているはずだ」

 嫌悪を込めて、イレーヌを正面から睨み据えハッキリと言う。
 イレーヌの唇がワナワナと震え始め、血走った目が鋭く尖っていく。

 「なによ……なによなによなによ! わたくしは悪くないと言っているでしょう! 第二王子ごときが偉そうに! あなたはわたくしの言うことに黙って従っていればいいのよ!」

 いつも高みの見物とばかりに嫌な笑みを浮かべているイレーヌが、唾を飛ばしながら罵ってくる。
 黙っていれば簡単に引き下がると思っていたのだろう。
 それだけで僕のことをどれだけ舐めていたのかがよく分かって、少し笑いそうになる。

 「そういうわけにはいかない。女官同士の揉め事を収めるのが僕の仕事だ。あなたよりヴェロニカ殿の方が傷が深い。リュシー殿や他の女官たちも怪我を負っている。皆あなたが暴れたせいだと答えた」

 「違う! あの子たちがわたくしを侮ったから! カリスティア公爵家のこのわたくしを!」

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