悪女ロベリアの矜持 ~欲にまみれた王族の皆様。〝ただの側室〟に翻弄される気分はいかがですか?~
 騒動後すぐに、近衛兵たちに彼女たちをバラバラの場所で監視させた。口裏を合わせる時間は与えなかったつもりだ。
 もしかしたら暴れた原因は取り巻きたちにあるかもしれないが、それも身から出た錆としか思えない。

 「家柄は関係ない。先に手を出したのはあなただ。しばらくは自室から出ることを禁ずる」
 「謹慎するのはロベリアでしょう! あの女がすべての元凶なのに!」
 「ロベリア?」

 唐突に飛び出した名前に面食らう。
 あの場に彼女はいなかったはずだ。

 「なぜ彼女が?」

 わけが分からず質問するが、返ってくるのは「ロベリアのせいよ」「あの女が全部悪いの」といった呪詛のような罵倒ばかりで、具体性が一つもない。
 イレーヌの目はもう僕を見ていなかった。
 憎悪の光を煌々と灯し、中空を睨みつけている。
 まるでそこにロベリアがいるかのように。

 正気じゃない。
 そう気づいてゾッとする。

 「なぜリュシーに手を上げた」
 「知るもんですか。あの女がそう仕向けたのよ。最低ね。死ねばいいのに」
 「ヴェロニカもリュシーも、一度も彼女の名を出していないが」
 「騙すのがお上手なのね。娼婦だもの。汚らわしい」

 ロベリアがどう関わっていたというのか。問えば問うほど、彼女のロベリアに対する怒りは燃え上がっていく。
 だというのに具体的な理由はひとつも出てこない。

 「……分かった。ロベリアにも話を聞こう」

 これ以上は無益だと判断し、いったん監視を残して解放することにした。
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