ハロー
「あっ、えっと、答えはーーー」

未来が紙に書いてある答えを言うと、先生は「はい。正解です!」と言い、計算式を黒板に書いていく。未来は安堵して椅子に座り込んだ。太ももの裏まで汗をかいている。

未来はチラリと隣を見た。紙を置いてくれたのは、未来の隣の席の女子生徒である。名前は楠木芽衣(くすのきめい)。芽衣は今、何事もなかったかのように黒板を見つめている。

(言わなきゃ……!お礼、言わなきゃ……!)

未来は拳を握り締める。芽衣はいつも、未来が困っているとさりげなく助けてくれる。そして、未来はいつも「ありがとう」を言えていない。

チャイムが鳴る。机の引き出しに芽衣は教科書とノートを入れていく。未来はそれを緊張を覚えながら見つめていた。未来の手のひらがじっとりと汗ばんでいく。

芽衣は立ち上がり、教室を出ていく。未来は慌てて立ち上がった。教室を出ると、廊下を歩いていく芽衣を見つけた。

「あ、あの!楠木さん!」
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