追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「アデラプス王国の聖女様が、我が帝国の聖女になるらしい」
「白雪のような白髪と闇夜を照らす月明かりのような瞳は、まさしく聖女と呼ぶに相応しい方だ!」

 皇帝の庇護を受けているのが大きいのだろう。
 アデラプス王国で「ハズレ聖女」と呼ばれているのが嘘のように、彼女は帝国民達から「素晴らしい聖女」だと噂されていた。

「得体のしれぬ闇のオーラを纏う魔獣を、任命式を執り行う前に退けたのだろう?」
「正式な聖女となられれば、強固なる結界を生み出すはず!」
「我々も、もうこの身を鍛える必要はなくなるかもしれないな」
「ははは!」

 たとえ好意的なものであろうとも、家族以外の人間から彼女の話題が出てくるのに腹が立つ。
 ダリウスは紫色の瞳に憎悪を滲ませて彼らを無言で睨みつけたあと、任命式の会場へ向かった。

(花言葉は確か、優美だったか……)

 白と紫のシラネアオイで作られた花冠をつけた少女は、まるでこの世のものとは思えないほどに神々しく、美しかった。

(ここにいる誰もが虜になるほど、完全完璧な美しさを兼ね備えた聖女……)

 たとえどれほどダリウスが「彼女は俺のものだ。誰も見るな」と命じたところで止められないほどに、ラシリネは光り輝いている。
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