追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
彼女の聖女就任に異論があろうが、神の言葉を信じられなかろうが、黙って静かに任命式が終わるのを見守るしかない状況に追い込まれた彼は、現実逃避をすることでどうにか今すぐラシリネをこの場から攫ってしまいたい衝動を押さえつけた。
(これほど麗しく可憐な花を咲かせるラシリネをハズレと称し、劣等感をいだかせただけではなく、彼女の心を奪った……。あの男だけは、絶対に許さない……!)
エヴァイシュ帝国の聖女となった彼女が、己の治める領土全体に強固な障壁を張り巡らせる。
それはアデラプス王国で展開された穴だらけで不完全なものとは異なり、防護力の高いものだった。
「聖女様!」
誰もが彼女の就任を祝い、浮き足たち、賞賛の声を上げた。
――紫色の瞳にここにはいない男へ憎悪を滲ませる、たった1人を除いては。
「陛下?」
いつまで経っても、ダリウスが祝福の言葉を述べに来ないからだろう。
式典を終えた彼女が、不思議そうにこちらを見つめた。
(この身の内側で暴れ回る醜き感情を少しでも表に出せば、彼女に嫌われてしまう……)
ラシリネからすぐさま視線を反らし、己に何度も言い聞かせることで感情を押し殺す。
(これほど麗しく可憐な花を咲かせるラシリネをハズレと称し、劣等感をいだかせただけではなく、彼女の心を奪った……。あの男だけは、絶対に許さない……!)
エヴァイシュ帝国の聖女となった彼女が、己の治める領土全体に強固な障壁を張り巡らせる。
それはアデラプス王国で展開された穴だらけで不完全なものとは異なり、防護力の高いものだった。
「聖女様!」
誰もが彼女の就任を祝い、浮き足たち、賞賛の声を上げた。
――紫色の瞳にここにはいない男へ憎悪を滲ませる、たった1人を除いては。
「陛下?」
いつまで経っても、ダリウスが祝福の言葉を述べに来ないからだろう。
式典を終えた彼女が、不思議そうにこちらを見つめた。
(この身の内側で暴れ回る醜き感情を少しでも表に出せば、彼女に嫌われてしまう……)
ラシリネからすぐさま視線を反らし、己に何度も言い聞かせることで感情を押し殺す。