追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(陛下はやはり、納得していないのね……)

 彼の同意を得ずに就任式を行い、聖女になったことを謝罪するべきなのだろうか。
 それとも、今まで通りに接するべきなのか――。

 何度も考えて悩んだ末に出した結論は、後者だった。

「生涯、最善を尽くせ」

 彼はぶっきらぼうにこちらへ向かってそう言い放つと、足早に式典会場をあとにしてしまった。

(その気になれば触れ合えるほどに近づいた距離がまた、離れて行ってしまったわ……)

 聖女になりたい。
 そう強く願ったせいで、陛下との間に見えない壁ができてしまった。

「わふ?」

 その寂しさを埋めるように、近づいてきたスノーエルを抱きしめる。

「聖女にならないほうが、よかったのかしら……」

 金色の瞳を潤ませて涙を滲ませた直後、事の成り行きを見守っていた神の言葉が脳内に直接響いた。

『それは違うぜ』
「神様!」

 こちらが喜びを露わにすれば、神獣の身体を借りた男は呆れたように声を発した。
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