追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(黒いオーラは、見えないけれど……。まさか、彼らにも取り憑いているのかしら……?)

 ラシリネは金色の瞳に怯えの色を含ませ、探るような視線を男達に向けた。

「わ、私はかつて、ハズレ聖女と呼ばれていたのですよ……? たくさんの殿方から愛を囁かれるなど、ありえません……!」
「何をおっしゃいますか! 我々は、あなたをお慕いしているというのに……!」
「そうですよ! 見て見ぬふりなど、しないでください!」
「どうか、この想いを受け取って……!」
「ひ……っ」

 4本の腕が、一斉に己の身体に向かって伸ばされる。
 喉元から声にならない悲鳴が上がり、慌てて胸元で両手を組んだ。

(怖い! 近づかないで……!)

 その祈りに応えるように、スノーエルが地を蹴った。

「わふ!」

 その直後、ラシリネを取り囲んでいた2人の男が同時に倒れ伏した。
 神獣が攻撃を加えたのは、1人だけだ。
 もう片方を傷つけた人物は一体誰なのか。
 それを確認するよりも早く、勢いよく腰元に逞しく鍛え抜かれた腕が回る。
 ぽすんと抱き寄せられた時には、地を這うような怒声があたり一面に響き渡っていた。
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