追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 あれから10年近くの時が経つ。
 姉の評判は、長い年月をかけて地に落ちていた。

 聖女になってすぐは国中に障壁を張り巡らせていたが、月日を重ねるうちにそれらが穴だらけになり、塞げなくなった。
 そこから人間を襲う魔獣が大挙として押し寄せてくるせいで、今では聖女がいない国と同じような状態になっている。

(あの男、まだ姉様に執着しているのかしら……?)

 ラシリネを愛するあまり気が狂った男の策略か。
 それとも、姉も本物の聖女ではなかったのか――。
 とにかく、こちらとしてもいい迷惑だ。

『ラオイドル公爵家はハズレ聖女を生み出した!』
『あの女が完璧な障壁を生み出せないせいで、何人の人間が傷ついたと思っている!?』

 そんなふうに、領民達からも批難が集中しているからだ。

(まぁ、でも……。あたしが聖女だと偽らなくて、よかったかもしれないわね……)

 本物の聖女ですらも、あれほどまでに心ない言葉をぶつけられるのだ。
 自分が偽物とバレた時のことを考えたら、ゾッとする。

(きっと、罵倒されるだけじゃ済まないわ……)

 姉が民の怒りに耐えきれずに命を落とすのか、それとも我々が魔獣に食い殺されるのが先か。
 どちらにせよ、このままではろくな未来など望めないだろう。
< 132 / 254 >

この作品をシェア

pagetop