追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(どうするのが、正解だったんでしょうね?)

 そんなことを考えたところで、無意味でしかない。
 今は自分達が生きるだけで、精一杯なのだから。
 アオリは今日も夜会に出席し、人々の冷たい目線を諸共せずに男漁りを繰り返す。
 己の身の安全を確保し、平穏な生活を歩むために――。

「アオリ・ラオイドルだな」
「まぁ。素敵な殿方。あたしに一体、なんの用かしら?」

 後方から声をかけられ、満面の笑みを浮かべて応対したことをすぐに後悔する。
 その顔には、見覚えがあったからだ。

「話がある」

 それが誰かを認識した直後、その様子を目にしていた貴族達が一斉に噂話に花を咲かせた。

「なぁ。見ろよ。あれって……」
「エヴァイシュ帝国の、皇帝じゃない!」
「なんでまた、ラオイドル公爵令嬢に……?」
「聞いたことがあるわ。ラオイドル公爵夫人は、かつてエヴァイシュ帝国の王城で侍女をしていたって……」

 貴族達はあるものは驚き、納得し、畏怖の念をいだく。

(めんどくさいわね……)

 姉を好いてさえいなければ、理想の結婚相手だ。
 猫なで声で迫っていたかも知れないが、そんなことをすればあとが怖い。
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