追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
『ラシリネから、貴様と付き合っているのではと勘違いされた。その責任は、命で贖ってもらうぞ』

 そんなふうに凄まれる状況が目に浮かぶようだ。
 アオリは悪夢としか言いようのない未来の実現を防ぐため、あえて素で接した。

「誰かと思えば、負け犬さんじゃないの。なんの用?」
「ここでは話せない」
「あたしと2人きりで消えたなんて噂になったら、困るのはあんたよ?」
「言いたいやつには、言わせておけ」
「ふーん? あとで姉様に勘違いされて、咽び泣いたりしないでよね!」

 皇帝は「指示に従わなければ、どうなるかわかっているだろうな」と言わんばかりにこちらを凄む。
 アオリは渋々彼の命令に従い、2人で人気のない空き部屋へやってきた。

「それで?」
「あの時果たせなかった君の願いを、今度こそ実現させたい」
「何言ってんの? 今さらあたしが名乗り出たって、信じられっこないわ!」

 皇帝は今もまだ、狂おしいほどに姉を求めているらしい。

(冗談じゃないわ!)

 アオリは憤慨した様子で、相手が自分よりも立場が上である事も忘れて怒鳴り散らした。
 しかし、彼の表情は真剣そのものだ。
 まるで「自分の主張は正しい」と言わんばかりに、淡々と声を発した。
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