追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「君も身を持って、よく知っているだろう。聖女としてのラシリネの評判が、よくないと……」  
「確かに、本物とは思えないほどに酷いもんだわ! でもね! 今の状況を見たら、偽物になんてなれるわけがないでしょう!?」
「なぜ、拒む」
「一度でもヘマをしたら、姉様のように心ない中傷に晒されるのは明らかだわ! そんなの、冗談じゃない……!」

 ダリウスはアオリが、2つ返事で了承してくれるとばかり思っていたらしい。
 苛立たしげに紫色の瞳を細めているのが印象的だった。

「それに任命式を終えた聖女がその座を辞するには、解任式を執り行う必要があるわ! どうやって、国王を納得させるつもり?」
「簡単なことだ。ラシリネの汚名を、逆手に取ればいい」

 口元だけを綻ばせた不気味な笑顔を目にした瞬間、背筋が凍った。

(こいつはもう、己の無力さを嘆いてただ泣き叫ぶだけの少年じゃないわ……!)

 姉を手中に収める際に邪魔をするなら、神すらも殺すつもりだ。
 自分がこのまま「嫌だ」とは刃向かい続ければ、禁呪でもなんでも使って無理やり言うことを聞かせて来そうなほどの恐ろしさがある。
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