追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 アオリは魔具を使用し、聖なる力を後天的に手に入れた。

(ここまでは、予定通りね。あとは……)

 意気揚々と姉の暮らす王城まで乗り込み「自分こそが真の聖女だ」と名乗りを上げ、陛下にお目通りを願い出る。

「何用だ」
「姉様がハズレ聖女と呼ばれるほどに不完全な障壁しか生み出せないのは、ラシリネが偽物だからよ」
「なんだと?」

 ここで「何を馬鹿なことを」と吐き捨てるような人間ではなくて、助かった。
 国王もこのままでは姉を聖女にした責任を追及され、自分の進退にかかわると自覚しているのだろう。

「ラオイドル公爵家の次女であるこのあたし! アオリこそが、真の聖女よ!」

 魔具を使って姉の生み出した穴だらけの障壁を塞げば、彼は瞳を輝かせて喜んだ。

「おお……! これこそ、神の奇跡だ! 今すぐあの女をこの国から追放し、貴様を我が国の聖女として迎え入れよう!」

 アオリは国王の決定を、冷めた目で見つめていた。

(こいつ、聖女のことをなんにも知らないのね……)

 聖なる力による防御壁は本来、任命式を終えてからでなければ発揮できない。
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