追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「へ、陛下! 大変です!」
「何事だ。騒がしい……」
「つ、追放したはずのハズレ聖女が! エヴァイシュ帝国の、聖女に!」
「なんだと?」
「それも、完璧な障壁を展開しております……!」

 ダリウスの治めるエヴァイシュ帝国は、長年聖女不在の地だ。
 障壁を張り巡らせて領土を守る者が現れるなど、夢にも思わない。

「この目で確かめるぞ!」
「はい!」

 国王は慌てた様子で物見櫓へ向かい、望遠鏡を覗き込む。

(話が違うじゃない……!)

 肉眼でもはっきりとわかるほどにオーロラのように光り輝く完璧な防御壁を姉が展開させたと知り、アオリは狼狽えた。

(あの男は、姉様との結婚を望んでいたはずでしょ!? 聖女になったら、その願いは叶えられないはずなのに!)

 2度目はアオリの活躍によって成功したが、3度目はダリウスが選択を誤り、失敗してしまったとでも言うつもりなのだろうか? 

(これじゃ、あたしが偽物だってバレるのも時間の問題じゃない!)

 作戦が成功して「ああよかった」とほっと胸を撫で下ろしていたら、今頃人生が詰んでいた。
 アオリはここにはいないダリウスに向けて怒りを募らせると、望遠鏡を覗き込むのを止めた国王の様子を窺った。
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