追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「行っておいで」
「はい!」

 ダリウスの許可を得た以上、怖いものなど何もない。
 ラシリネは勢いよく2人の元へと、駆け出して行った。

「ずっと、お会いしたかったです……!」
「ええ。わたくし達もよ……」

 金色の瞳を潤ませて再会を喜べば、皇太后も感極まった様子で優しく口元を綻ばせる。
 その姿は、10年前に記憶している光景からは想像もつかないほどにやせ細り、疲れ切っているように見えた。

「あとはラシリネちゃんの花嫁姿を見られたら、思い残すことはないわ」
「母上……」
「何を言っておるのだ。孫の顔を見るまでは、長生きして貰わなければ……」
「きっとあなた達によく似て、とってもかわいらしいのでしょうね……」

 しかし、こちらが彼女の体調を心配していたのは一瞬だ。
 すぐにそれを感じさせないほどにケラケラと笑いながら声を発した皇太后は、赤紫色の瞳を細めて遠くを見つめた。

(奥様はすでに、己の死期を悟っているのかしら……)

 まるで本当の娘のように自分をかわいがってくれる女性には、少しでも長生きしてほしい。
 ラシリネがそんな願いをいだきながらどんな言葉をかけてやるべきか迷っていると、ダリウスが呆れたように口を挟んできた。
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