追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「俺達が結ばれる前提で、話を進めないでくれ」
「あら。違うの?」
「うむ。おかしなことを言う。さてはお主、ラシリネ嬢にいいところを見せたいのだな?」
「当たり前だろう。彼女の意見も聞かずに、決定事項のように話を進めるわけにはいかない」

 うんざりとした様子で語る皇帝の姿を目にした夫妻は、顔を見合わせて口元を綻ばせる。
 どうやら、強い口調で淡々と声を発する息子の仕草に、思うところがあるらしい。

(どうしたのかしら……?)

 ラシリネはすっかり蚊帳の外へ出され、不思議そうに各々の姿を観察していたのだが――。

「よくもまぁ、そんなことが言えるわね。幼い頃からずっと、ラシリネちゃん一筋のくせに」

 ニヤニヤと称するのが適していそうな母親の発言を聞いた直後、ダリウスの顔色が露骨に変化した。
 顔を真っ赤にして、怒り出したのだ。

「母上……!」
「かわいいところもあるでしょう?」
「は、はい……!」
「ラシリネ! 同意など、しなくていいんだぞ!?」

 彼女に促され、ついつい頷いてしまった。
 そんなラシリネにショックを受けた陛下は、苛立ちを隠しきれない様子で怒声を響かせる。
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