追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
『なんで、謝るんだよ?』
「聖女は神に祈りを捧げ、生涯守護すると決めた国に障壁を貼り続けてなければならないのに……! いつだって、私の頭の中はダリウス様のことでいっぱいでした……!」
『あー、それな……』

 よくわかっていない神に対して己の罪を懺悔すると、まん丸の瞳が気まずそうに細められた。
 やはり、自分達には天罰が下るらしい。

(大変だわ……!)

 ラシリネは慌てて、神に懇願した。

「どうか、陛下のことだけは、見逃して頂けないでしょうか!?」
「ラシリネ……」
「ダリウス様は、何も悪くありません。私が、聖女として未熟だったから……! ですから、どうか……! 彼の分まで、私に罰を……!」

 ダリウスはこの国の皇帝だ。
 兄弟もいないとくれば、脈々と連なる王家の血が途絶えてしまう。
 いくら皇太后の体調が快方に向かっているとしても、一時期は油断を許せぬほどに落ち込んだ状態だったと聞く。
 そんな中、再び前皇帝が王座に返り咲くなどあり得ないだろう。

(それに、何よりも……)

 ラシリネはダリウスの母親が心労に耐えかね、自分のせいで命を落とす可能性に怯えていた。
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