追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(奥様は誰よりも、私達を大切に思ってくださっていたわ……)

 息子に何かあれば、心優しい彼女はきっと心を痛める。
 ラシリネのせいで、仲良し家族が崩壊するかもしれないのだ。

(そんなの、絶対に許せないわ……!)

 たとえ神が「己の命を差し出して罪を償え」と迫ってきたとしても喜んで捧げられるくらい、追い込まれていた。

「俺を庇うな」
「ですが……!」
「罰を受ける時は、いつだって2人一緒だ」
「陛下……」

 そんな己の姿を見て、想いを通じ合わせた男が黙っているはずもない。
 彼は自分にだけすべてを背負わせるわけにはいかないと、紫色の瞳に決意を宿して提案してくれた。

(やっぱり陛下は、とても頼りになる殿方だわ……!)

 ダリウスに対する恋心を高めてキュンキュンしていると、その様子を静かに見守っていた神が言いづらそうに伝えてくる。

『あー。甘い雰囲気を醸し出しているところ、恐縮なんだが……。俺があんたらの仲を認めさえすれば、神の裁きなんて下らねぇぞ?』
「え……?」

 ラシリネは思わず素っ頓狂な声を上げ、呆然と神獣を見つめてしまう。
 スノーエルの器を借りて念話を話す男は、呆れたように言葉を紡ぐ。
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