追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
『今日、こうしてあんたらの前に姿を見せたのは、こっちにも用事があったからだ』
「な、なんでしょう?」
『実はアデラプス王国の聖女は、偽物だったんだ』
「アオリ、が……?」
『ああ』

 ラシリネにとって神が語ったこの事実は、まさしく晴天の霹靂であった。
 国王がかつて、「姉妹のうちどちらが聖女なのかわからない」とぼやいている声を覚えていたからだ。

(あの子は私と同じように、生まれながらにして聖なる力を持って生まれたわけではないの……?)

 ならば一体、なぜ国王はあんなことを言ったのだろうか。
 ラシリネはわけがわからぬまま、男に問いかけた。

「なら、彼女はどうやって聖女になったのですか?」
『さて、な。私達が知らないうちに人間も知恵をつけ、神を欺くなんかしらの手段を見つけたんだろう』

 うんざりとした様子で語る神の言葉を耳にして、ラシリネはダリウスの顔色を窺った。
 彼から10年前、「聖なる力を隠すように」と指示を受けた上で差し出された魔具が、それに該当すると気づいたのだ。

(これは、言うなってことかしら……?)

 己と目を合わせた陛下は、視線だけを左右に動かした。
 つまり、ここで馬鹿正直に人間の秘密を神々に打ち明ける必要はないと言いたいのだろう。
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