追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
(神を欺くなんて、聖女失格だわ……)

 ラシリネは悲しそうに金色の瞳を伏せたが、愛する人がそう望むのであれば仕方がない。
 複雑な想いをいだきながら、彼の指示通りこの事実は胸のうちに秘めておくと決めた。

『我々神は、偽物が聖女を名乗り続ける蛮行を許すつもりはない。今すぐに、神の裁きを下したいところだが……』

 神はどこか言いづらそうに、言葉を濁す。
 どうやら、アオリを聖女の座から引きずり下ろしたくても簡単にはできない事情があるらしい。

(一体、どんな理由が隠されているのかしら……?)

 ラシリネは静かに、あとに続く言葉を待ち続けた。

『人間同士のことは神々の手を煩わせるまでもなく、自分達でどうにかするようにとお触れが出た』
「つまり……?」
『エヴァイシュ帝国の聖女として、確固たる地位を手に入れた聖女ラシリネの出番だ! 偽物を、本物パワーで退けろ!』
「わ、私が……。妹を、ですか……?」

 神の発言を受けた聖女は、「そんなの無理です」と反射条件的に叫び出したい気持ちに駆られた。
 しかし、神々の言葉に逆らうわけにもいかず、ぐっと堪える。
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