追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「お、お義母様……」
「ラシリネちゃん……! あなたはわたくしにとって、自慢の義娘よ!」
「あ、ありがとうございます……っ」

 義母はようやく念願が叶い、嬉しくて仕方がないようだ。
 満面の笑みを浮かべて、己に抱きついて来たのが印象深かった。

(いつまでも、こんなふうにお元気でいてくださるといいのだけれど……)

 彼女のそばによくいる義父は、「はしゃぎすぎると身体に障る」とよく言っている。
 ラシリネはそれが現実にならないことを祈りながら、女同士の話し合いに花を咲かせた。

「ラシリネ嬢。ちょうどいいところに」
「お義父様」

 彼女を義母と呼ぶ手前、彼だけ今まで通りの他人行儀な呼び方ではつり合いが取れない。
 ラシリネは当然のようにダリウスの父親をそう呼んだあと、前皇帝が目を見張る姿を確認してからすぐにうろたえる。

「ご、ご不快に思われたようで、大変申し訳ございませんでした……!」
「いや、構わん。妻の我儘に付き合ってくれたようで、何よりだ。これからも迷惑をかけるやもしれんが……よろしく頼む」
「は、はい!」
「酷いわ。人を、我儘三昧のように言うなんて……」
「その通りであろう?」

 夫妻は軽口を叩き合ったあと、どちらともなく微笑み合う。
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